今日の長生村は雨でした、それも「大雨」の部類に入るでしょう。スーパーに買い物に行っても、駐車場に雨水がたまって靴が濡れる程です。
雨降りの道を走らせていると、稲刈りが済んだ田んぼに雨水が溜って池のようになっています。昔から「水田は第二のダムである」と言われていますが、都会のように降った雨がすべて排水溝へ流れるのだとしたら、今日の降りだと排水不良になりそうです。そうやって考えると、水田は高い保水力により水害を防いでいてくれているのだなと、改めて感心してしまいます。ちなみに、日本全国の水田が蓄える水の総量は、およそ81億トンとのこと、実感のない数字ですが、日本全国に作られている治水ダムの貯水量の、約3.4倍もあるというから驚きです。
田んぼって、単に地面が低くなっていて水がた溜っているのかと思っていましたが、そんな単純なものではなさそうです。田んぼの底の構造は、表面から作土層、鍬床層、心土(下層)の3層構造になっています。最初の作土層は、稲を植えるために掘り起こされる層で、深さはおよそ10センチから15センチほどです。次の鍬床層は、土をつき固めて作られた水を通しにくい層です。この層が水を通しにくいので水を溜めると同時に作業をする人や機械を支える働きをします。この層がバケツでいえば底のような存在で、水田に水を溜める力となっています。さらに、溜めいてた水を、ゆっくりと地下に浸み込ませ、水害の発生を防いでいるのです。
普段何気なく見ている水田にそんな機能が隠されていたなんて、驚きですね! その他にも水田の役割として、表土の流出を防いだり、水を浄化したり、暑い日には気温を下げたり、小さな生命を育む場であったりと、数え切れないほどの役割を担っているのです。
米作りをやめた休耕田では、鍬床層にヒビが入ってしまうことがあります。こうなるとバケツの底が抜けた状態になるので、水が溜まらなくなってしまい、水田の機能の半分は失われてしまうことになります。単に米を作らないということだけでなく、地域の環境をも変えてしまうのですね。一軒の農家の作付面積を増やして大規模化するなどして、できるだけ休耕田を作らないようにしないといけませんね。
豊かな自然が・・・と思っていた我が家のまわりも、実は人間が作ったものだと思うと先人達の知恵と努力に感謝ですね。
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