千葉県で唯一の村である長生村だが、ブランド野菜には「ながいき村」と命名しているが、正式には「ちょうせいむら」なのか「ちょうせいそん」なのか? 村人のなかにも、結構「ちょうせいそん」という人がいるが、正式には「ちょうせいむら」と呼ぶのである。何を隠そう、我が家の長女は、中学生のころからしきりと「ちょうせいそん」と言っていた。アメリカに留学していた時も、送ってくる郵便のあて先は必ず「chosei-son」と書いていたっけ。なぜそんなにも「そん」にこだわるのか、一度聞いてみようと思う。
調べてみると、日本の村で正式に「そん」と呼ぶ村もあるのですね。鳥取県の日吉津村(ひえづそん)、岡山県(全2村)、徳島県の佐那河内村(さなごうちそん)、宮崎県 (全3村)、鹿児島県の大和村(やまとそん)・宇検村(うけんそん)、沖縄県(全19村)ということで、全国28の村が「そん」と呼んでいることがわかりました。
そうなると、そもそも村ってなんじゃ?町とどうちがうのか?という疑問が涌いてきました。
これも調べてみると、地方自治法上では村と町の違いはないようです。本質的には同じ とはいうものの、現行制度でも 町と村との2種類は厳然として存在し、町になるためには県条例で定める町としての要件を具えなければなりません(地方自治法第8条第2項)。それでは千葉県に於ける村が町になるための条件は
人口5千人以上を有する
中心市街地に全戸数の60%以上の戸数がある
商工業に従事するものが全人口の50%以上である
水道などの施設、公民館などの施設、側溝や街燈などの施設が整備されている
会社などの事業所、娯楽施設やホテルなど観光施設が相当数ある
以上の要件が満たされないと「村」のままとなる
我が長生村は人口は約15000人で、人口的には町になれる条件を備えていますが、中心市街地に人口の60%の戸数となると、9000人が住んでいなければければならない。長生村は昔は海岸沿いに集落が多く人口も多かったが、その後国道沿いや隣接する茂原市との境界付近の人口が増加。結果的に全村的に人口が分散して住んでいるかたちになっている。とても中心市街地に人口の60%がというわけにいかない。長生村の村人は、「町になれるけど村でいるのよ」と言うが、この条件だとちょっとあやしい。
日本全体をみても、どうやら村は「絶滅危惧種」のようで、平成の大合併によって相当数の村が消滅してしまったので、絶滅の危機に瀕している。そんななか、なんとか村を存続させようという動きも出てきています。熊本地震でも被害の大きかった南阿蘇村ですが、36年ぶりという「村」の新設で話題になりました。2005年 阿蘇郡 白水村, 久木野村, 長陽村が合併して南阿蘇村になったわけですが、合併後の自治体を町とするか村にするかにつき住民アンケートが行なわれ、57%もの希望を集めた「村」になりました。このように村という名前を存続しようという動きがうまれはじめています。我が長生村も、合併よりも単独で村のままがいいという選択をしたわけです。どうやらその流れは正しかったようです。